エネルギー概論

蒸気の乾き度

蒸気加熱で多く利用される湿り蒸気について、工場等判断基準の基準部分(工場)では、乾き度を適切に維持することが定められている。

蒸気の変化

蒸気は加熱を続けると次のように変化していく。

  1. 湿り蒸気(飽和水+乾き飽和蒸気)
  2. 飽和蒸気
  3. 過熱蒸気

湿り蒸気

水を圧力一定で加熱すると温度が上昇するが、ある温度(=飽和温度)に達すると温度上昇が止まり、蒸気が発生し始める。

蒸気発生の開始直後は、飽和温度の水と蒸気が共存する。

飽和温度の水を飽和水、飽和温度の蒸気を乾き飽和蒸気と呼ぶ。

これらが混合した状態が湿り蒸気である。

飽和蒸気

湿り蒸気を加熱し続けると飽和水が減少し、蒸気は増加を続ける。

全体が「飽和温度の蒸気(=乾き飽和蒸気)」となった状態を飽和蒸気ともいう。

過熱蒸気

飽和蒸気(=全体が乾き飽和蒸気)をさらに加熱すると、蒸気は再び温度上昇を始める。

飽和温度以上となった蒸気を過熱蒸気という。

乾き度とは

上述のとおり、湿り蒸気は飽和水と乾き飽和蒸気をからなり、その混合割合で蒸気全体の性質が大きく異なる。

湿り蒸気=飽和水+乾き飽和蒸気

ここで、乾き度とは、湿り蒸気全体のうち、乾き飽和蒸気の占める質量の割合のことである。

乾き度をxとすると、

湿り蒸気の質量:乾き飽和蒸気の質量=1:x

たとえば、湿り蒸気1kgに乾き飽和蒸気0.6kgを含む場合、乾き度は0.6となる。

なお、飽和水の質量割合を湿り度と呼び、この例では湿り度は0.4となる。(1-0.6=0.4)

文献

R2 問題3 (6)

一般社団法人省エネルギーセンター編『改訂6版 エネルギー管理士試験講座エネルギー総合管理及び法規』一般社団法人省エネルギーセンター(2022)
p175「(1)蒸気の性質」

「エネルギー管理士」カテゴリ 共通文献

オーム社編『2023年版エネルギー管理士(電気分野)過去問題集』オーム社(2022)

プロフィール

大学で電気工学を専攻し、現在は電気関係の業務に従事。
第一種電気主任技術者試験(電験一種)合格。

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