保護リレーは、誤動作によって停電を引き起こすおそれがある。
これを回避するため、ひとつの要素ではトリップに至らない構成としている。
ここで使用される二つの要素として、「メイン」と「FD」が挙げられる。
メイン-FD方式
主検出用CPU(メイン)の他に事故検出用CPU(FD)を設け、AND条件でトリップさせることにより、いずれかのCPUに不良があっても誤動作しないようにしている。
これは通称、メイン-FD方式と呼ばれる。
この方式は「誤動作」対策として有効である。
一方で、「誤不動作」のリスクを高めるおそれがある。
なお、「メインとFD」は「主保護と後備保護」とは別物である。
FDとは
FDは、Fault Detect (=事故検出) の略である。
一般に、事故弁別性や選択性などを妥協してコストを抑えつつ、メインリレーの弱点を補うことのできる方式を採用する。
たとえば、メイン要素が地絡方向リレーの場合、CT入力回路1相だけの異常により誤動作するおそれがある。そこで、FD要素として地絡過電圧リレーを使用することで誤動作を防止する。
文献
安田忠彰『やさしく学ぶ電力系統の保護リレー』※オーム社『OHM』連載 2021年8月号
大浦好文『保護リレーシステム工学』電気学会(2002)
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