電気の豆知識

なぜタコ足配線は危険?何個までなら問題ないか

今まで身近な人と話してきた中で、「タコ足配線」について勘違いして認識されているケースが多いと感じました。

そこで本記事では、タコ足配線の危険性についてまとめました。

タコ足配線とは

本記事で対象とする「タコ足配線」は、テーブルタップの差込口に、さらに別のテーブルタップをつないで使用することを表します。

※「テーブルタップ」は「電源タップ」など他の呼び方もあります

最近は、10個口など、多くの電源プラグを挿入できるテーブルタップが販売されています。

勘違いされやすいのですが、テーブルタップの全ての差込口に家電製品などの電源プラグを挿入しても、危険なタコ足配線になるとは限りません。

仮に全ての差込口に電源プラグを挿入しても、消費電力の大きな家電を接続しない限り危険ではないのです。

消費電力の大きな家電とは、電子レンジ、ドライヤー、エアコンなどです。これらは基本的に単独で壁コンセントに挿して使用します。

タコ足配線が危険な理由

それでは、テーブルタップに別のテーブルタップをつなぐことは、何が危険なのでしょうか?

以下ではタコ足配線が危険な本当の理由について解説します。

合計の電力(ワット数)を把握できず限度を超えてしまうおそれ

テーブルタップには、使用できる合計の電力(ワット数)が決まっています。

一例として、わたしの手元にあるテーブルタップの裏面をみてみると、「合計1500ワットまで」と書かれていました。

つまり、1500ワットを超えて使用してはいけないのです。

1500ワットって、どれくらいの電力なのでしょうか?

家電の電力はどれくらい?

ここで、身近な家電の電力の例をあげます。

  • ノートパソコンやスマホの充電器の多くは、大きくても100ワット程度です。
  • わたしの手元にある24型のテレビは、46ワットと書かれていました。

意外と小さいと感じないでしょうか?

たとえば、ひとつのテーブルタップに、スマホやノートパソコンの充電器9個(そんなに使わないかもしれませんが…)と24型のテレビを接続しても問題ないということです。

電力が小さければたくさん接続してもOK

電源プラグがたくさん挿してあって、一見すると危険なタコ足配線に見えますが、電子レンジやドライヤー、エアコンなど消費電力が大きい家電の電源プラグを接続しなければ問題ないのです。

テーブルタップを別のテーブルタップに挿すのはNG

それでは、電源プラグがたくさん接続されたテーブルタップを、さらに他のテーブルタップの差込口につないで使うのはどうでしょうか?

これは問題があります。

理由は、合計のワット数を把握できなくなるためです。

具体的には、壁コンセントの差込口に接続している「おおもと」のテーブルタップに、合計どれくらいの電流が流れているのか把握できなくなってしまうのです。

電流(アンペア)が大きいということは、電力(ワット)が大きいことを意味します。

参考:ワットとアンペアの違い

すると、気づかずに1500ワットを超えてしまうおそれがあります。

電力をオーバーするとどうなる?

決められたワット数の上限を大きく超えて使用してしまうと、電線が発熱し、銅線を覆っている部分が溶けたり劣化してしまいます。

これにより、感電・火災につながることもあります。

ところで、一瞬で電線が燃えてしまうような大電流が流れたときには、家のブレーカーが瞬時に切れるのですが、テーブルタップの上限(1500ワット)を少し超えたくらいでは、ブレーカーは切れてくれません。

一般家庭のブレーカーは20アンペアですから、2000ワットまで使わないと切れないのです。

ここで一つ注意していただきたいのは、この20アンペアというのは、契約のアンペア数とは異なります。たとえば、10アンペアや15アンペア契約の場合は上記の限りではありません。

契約のアンペア数とは別で、屋内の電気回路の危険を防ぐために、20アンペアのブレーカーがついています。

話を戻し、ブレーカーに頼ることはできないので、自分で1500ワット以下に抑えながら使用する必要があるのです。

接続部分が増える

タコ足配線が危険な理由の二つ目は、接続部分が増えるためです。

電源プラグと差込口の接続部分が増えると、

  • トラッキングによる火災
  • 電気抵抗の増加

という問題が生じます。

トラッキングによる火災

電気保安協会などのCMで「トラッキング」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。

タコ足配線などにより配線が複雑になってくると、ほこりが溜まりやすくなります。

そのうえ、抜けかかっているプラグがあっても気づきにくく、その部分にはさらにほこりが溜まりやすくなってしまいます。

ほこりが溜まると、最悪の場合発火につながるおそれがあります。

電気抵抗の増加

電気抵抗が大きくなることも問題のひとつです。

電気抵抗が大きいと、発熱の原因になるうえに、無駄な電気を使うことになります。

無駄な発熱のために電気料金を払っていることになるのです。

その金額は大きくないとしても、無駄な電気を使うことは避けたいですよね。

電気抵抗が大きくなる要因には次の2つがあります。

  1. 接続部分の抵抗が大きい
  2. 電線が長くなるために抵抗が大きくなる

コンセントのように、金属と金属が接触している部分は、抵抗が大きくなります。

エアコンなどを長時間使用すると電源プラグが熱くなるのはこのためです。

また、接続部分が多いということは、電線が長くなる傾向にあります。

電線にも電気抵抗がありますから、長ければ長いほど抵抗は大きくなってしまうのです。

電気抵抗が大きくなれば発熱しやすくなり、無駄な消費電力が増えてしまいます。

危険を防ぐために正しく使いましょう

家電製品にはワット数が記載されていることが多いので、それを参考にして、何個まで電源プラグを挿入しても問題ないか、計算してみるのがおすすめです。

「1500ワットまで」と書かれたテーブルタップを使用する時は、少し余裕を持たせて、合計1000ワットくらいに抑えて使用すれば、より安全になります。

そして、複数のプラグを接続したテーブルタップは、壁のコンセントに直接つなぐようにしましょう。

なお、壁のコンセントも15アンペア(=1500ワット)までと決まってますから、こちらも合計の消費電力に注意しなければなりません。

参考:ワットとアンペアの違い

おわりに

本記事では、勘違いされることも多い「タコ足配線が危険と言われる本当の理由」についてまとめました。

電気は目に見えず、「難しい」「危険」「こわい」という印象があるかもしれません。

しかし、正しい知識を身につけて扱えば、安全で便利なものです。

本記事が電気の安全な利用のお役に立てたら幸いです。

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