保護リレーシステムは様々な要素から構成され、システムとして電力系統を保護している。
構成要素のどれか一つに異常が生じると、システムとして正常な動作ができなくなってしまう。
計器用変成器
計器用変成器は、主回路の電圧・電流を保護リレーに入力するために変成するために使用される。
主回路とは、送電線や配電線、変圧器など、電力の供給を目的とする回路を意味する。
主回路に対して、保護リレーの動作を目的とする回路を制御回路と呼ぶ。
計器用変成器には、電圧を小さくする計器用変圧器と、電流を小さくする変流器がある。
計器用変圧器(VT)
計器用変圧器は、主回路の電圧を保護リレーに入力するために使用される。
主回路の電圧には、たとえば 66,000Vなどが使用されている。
主回路の高電圧を、保護リレーに直接入力するとどうなるだろうか。
保護リレーの内部を高電圧に耐えきれるように設計する必要がある。
また、保護リレーの保守・点検のために人が触れることを考えると、電圧が大きすぎると危険である。
そこで、計器用変圧器によって低圧にして保護リレーに入力している。
保護リレーに入力される電圧としては一般的に110Vが使用される。
このように、主回路の高電圧を降圧するために使用するのが、計器用変圧器である。
変流器(CT)
変流器は、主回路の電流を保護リレーに入力するために使用される。
変流器は、主回路の大電流を小さい電流に変える。
主回路が通電中の状態で変流器の二次側を開放すると高電圧が発生して危険であるため、取扱いに注意する必要がある。
保護リレー
電力系統の異常を検出する装置を保護リレーという。
短絡や地絡など、放置すると被害が拡大する異常を迅速に検知し、遮断器が切れるように指令を与える。
遮断器
主回路の大電流を遮断することのできるスイッチを遮断器といいる。
保護リレーは異常を検出すると、遮断器に対して「切り」指令を送る。
遮断器は保護リレーから指令を受けて、実際に主回路を切り離す。
放置すると電線が溶断してしまうような大電流も、迅速に切ることができる。
また、遮断器は異常発生時だけでなく、電力系統の構成を変更したり、主回路の点検をしたりするときにも使用される。
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