ヒートポンプ・冷凍機では、外部からなされた仕事によって低温熱源からの受熱量を汲み上げ、外部からの仕事は熱エネルギーとして、低温熱源からの受熱量と共に高温熱源へ排熱される。
ヒートポンプ・冷凍機の性能は成績係数によって評価される。
成績係数 COP:Coefficient of Performance
(Coefficientは「係数」の意味)
成績係数を表す式
成績係数は、移動した熱量と外部からの仕事との比で定義され、ヒートポンプおよび冷凍機ではそれぞれ次のように表される。
ヒートポンプの成績係数
高温熱源への排出量/外部からの仕事
冷凍機の成績係数
低温熱源からの受熱量/外部からの仕事
成績係数の値の例とその意味
成績係数は通常1以上である。また、大きいほど性能が良い。
現在のエアコンの成績係数は、暖房が5程度、冷房が4程度である。
暖房の場合で考えると、仕事の5倍の熱エネルギーを生み出すのではなく、低温熱源から高温熱源に熱エネルギーを移動していることを意味する。
期間成績係数
冷凍機の省エネルギーの指標として成績係数(能力[kW]/消費電力[kW])があるが、この成績係数は期間を通じて変化する。
100%負荷と部分負荷とでは成績係数も異なり、期間を通じた成績係数の比較が必要となる。たとえば一般的な空調用途では100%負荷の時間は少なく、75~50%負荷の時間が多くなる。
期間の成績係数を示す指標として、期間成績係数 IPLV(Integrated Part Load Value)がある。
成績係数の向上策の例
冷房と暖房負荷が同時に発生する頻度が高い場合、冷房の排熱を回収する熱回収ヒートポンプを利用する。
文献
吉田幸司, 岸本健, 木村元昭, 田中勝之, 飯島晃良「基礎から学ぶ熱力学」オーム社(2016)
pp74-75「4.1.3 熱効率と成績係数」
公益社団法人 日本冷凍空調学会「最近気になる用語 139 期間成績係数」
https://www.jsrae.or.jp/annai/yougo/139.html (閲覧日 2024/01/01)
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