保護リレーは、短絡や地絡など、電力系統に生じる異常を検出し、健全系統から切り離すために設置される。
異常箇所を切り離すことで、影響の及ぶ範囲を最小限に抑えることができる。
短絡とは
広辞苑 第六版によると、「短絡」とは
電気回路の2点間を小さい抵抗の導線で接続すること。また、電気回路の絶縁が破れるなど、抵抗の非常に小さな回路を形成すること。
広辞苑 第六版「短絡」
と説明されている。
電力系統で考えてみる。
電力系統の電線同士が何らかの原因により電気的に接続されてしまうことがある。たとえば、以下のようなケースがある。
- 送電線に積もった雪が一気に落ちることで、電線が跳ね上がり、他の電線と接触してしまう
- 台風などの強風で金属製の異物が飛んできて、電線と電線の間にひっかかってしまう
このような状態を短絡といい、小さなインピーダンスに大きな電圧が加わるので、大電流が流れる。
この大電流により、たとえば電線が溶断してしまうこともあるため、迅速に検知して電気を止めなくてはならない。
地絡とは
電気学会の電気専門用語集によると、「地絡」は次のように説明されている。
電力線・電力機器などの導電部分と大地間の絶縁が失われて、電流が流れること。
電気学会 電気専門用語集(WEB版)
平常時は、電線は地面と物理的に離れていて、電気的にも絶縁されている。
しかし電線が何らかの原因で切れて垂れ下がってしまったり、電線に樹木が接触して地面と電気的につながってしまったりすることがある。
また、直接的に地面と接触することがなくても、雷によって電気的に地面とつながってしまうことがある。
このような状態を地絡といい、平常時は充電部ではない(電位がゼロの)場所に電位が生じ、そこに触れれば感電してしまう。
また感電だけではなく火災にもつながるため、こちらも迅速に検知して電気を止めなくてはならない。
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