「ディマンド・レスポンス」という言葉を聞くと、カタカナが並んでいて難しいイメージを持ってしまうかもしれません。
本記事では、ディマンド・レスポンスが登場した背景と考え方について、電気を学んだことがない人でも理解できるように説明します。
電気は使う量と作る量が同じ
日々の生活で使用する電気は、電圧などが急に変化することもなく、安定しています。
たとえばコンセントの電圧は100V(ボルト)ですが、これが突然200Vや50Vなどに変化してしまうと、家電製品の故障や不動作につながりますから、困りますね。
安定した電気のおかげで、照明が急に消えてうこともなく、冷蔵庫が気づいたら止まっていた、というようなこともなくなるのです。
安定した電気を常に使用するためには、使う量と作る量とを常に同じにしなければなりません。
それも、ある一部のエリアで一致させるのでなく、日本全体として、使う量と作る量を一致させる必要があります。
誰かが電気をつけたりエアコンのスイッチを入れると、発電所がそれを検知して、発電する量を増やしているのです。
これって、よく考えるとすごいことだと思いませんか?
では、使う量と作る量を同じにするためには、どのような方法があるでしょうか。
従来は「作る量」だけを調整していた
従来は、使う量と作る量を同じにするために、電気を作る量をコントロールしていました。
つまり、工場などで使う電気が増えた場合、発電所で作る電気を多くするのです。
反対に、使う電気が減った場合、発電所で作る電気を減らします。
従来はこれだけで「使う量=作る量」を維持できました。
ところが、最近は、太陽光発電や風力発電の普及により、電気を作る量のコントロールが難しくなってきました。
たとえば、急に天気が変われば、太陽光発電で作られる電気が一気に減ってしまうことが考えられます。
大雪が降れば、太陽光パネルに積もって発電できなくなってしまいますね。
気候はコントロールできないので、作る側だけではコントロールが間に合わないおそれがある、ということです。
そこで、発想を転換してみましょう。
ディマンド・レスポンスでは、使う量を調整する
電気を作る側でコントロールしきれないならば、使う側でもコントロールすればよさそうですね。
これが、「ディマンド・レスポンス」です。
ディマンド:demandは「要求」などの意味があります。
レスポンス:responseには「反応」などの意味があります。
つまり、電気の要求(使う量、需要)に反応するというような意味になります。
作る量を増やしたり減らしたりして調整したのと同じように、使う量を増やしたり減らしたりできます。
これを、上げDR、下げDRと呼びます。
上げDRでは、たとえば再生可能エネルギーで作られる電気が余ってしまうときに、バッテリーに蓄えるなどして無駄なく電気を使います。
下げDRでは、たとえば電気が不足しそうなタイミングで、使う量を減らします。節電のイメージです。
なおDRは「Demand」と「Response」の頭文字をとった形です。
おわりに
本記事では、従来とは逆の発想で「需要=供給」を維持するディマンド・レスポンスの考え方を紹介しました。
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