鳥はよく電線に止まっていますね。
電線に止まる鳥を見て、なぜ感電しないんだろう?と思ったことはないでしょうか。
本記事では、この疑問を解決すべく、電位と電圧の違いに焦点を当ててまとめました。
本記事を読むことで、普段あまり耳にしない「電位」の考え方も分かり、電気に詳しくなることができます。
それでは、説明していきます。
電位とは
日常生活で「電圧」は聞いたことがあっても、「電位」という言葉は聞く機会が少ないかと思います。
電位は「電気的な高さ(位置)」とイメージすると分かりやすいかもしれません。
電気を水にたとえると、電位は水位に相当します。海抜とイメージしてもいいでしょう。
たとえば、水位2mと水位1mの位置があったとすると、水はどちらからどちらへ流れるでしょうか。
これはイメージしやすいですね。
水は高い場所から低い場所へと流れるので、2mの位置から1mの位置へと流れていきます。
同じように、電流も、電位が高い場所から低い場所へ流れます。
電位の説明を踏まえ、次は電圧について説明します。
電圧とは
わたしたちは普段、「電圧」という言葉を、たとえば「この乾電池の電圧は1.5V」のように使用します。
テスターを持っている場合は、プラス極とマイナス極にテスト棒を当てて電圧を測定したことがあるかもしれません。
電圧というのは、ある物体と別の物体の間に生じるものを対象にしています。
電気を水でたとえるならば、電圧は水位差に対応します。
なお、電圧は電位差とも呼ばれます。
つまり、乾電池であれば、プラス極とマイナス極の間に1.5Vの電圧(電位差)が生じている、ということになります。
次に、もっとスケールを大きくして、配電線や送電線で考えてみましょう。
電柱に架かる配電線には、一般に電圧6,600Vの電気を使用しています。
また、鉄塔に架かる送電線であれば、たとえば電圧66,000Vなどがあります。
ここで6,600Vや66,000Vという高電圧は、どこの電圧(電位差)を表しているのでしょうか。
答えは、電線と電線の間の電圧を表しています。
配電線や送電線では三相交流という電気を使用しており、電線を3本1組で使用します。
つまり、配電線や送電線においては、3本の電線のうち、いずれの2本の間にも6,600Vや66,000Vなどの電圧(電位差)が生じています。
鳥が感電しない理由
電位の差が電圧であることを踏まえて、本題に入ります。
鳥は普通、1本の電線に両足をつけて止まりますね。
すると、両足の間には電位の差がないわけですから、鳥にかかる電圧は0V(ゼロボルト)※1ということになります。
このため、鳥は高電圧で感電することなく生きていられるのです。
なぜ鳥が電線に止まっても感電しないのか?という疑問に対する答えは、「鳥は1本の電線に両足をつけて止まっているため、高電圧が鳥の体に生じるわけではないから」ということになります。
※1 厳密には完全にゼロではないのですが、やや専門的な内容となってしまうため、ここでは説明を省略させていただきます。
おわりに
本記事では、高電圧の電線に止まる鳥が感電しない理由について、電位と電圧の観点からまとめました。
なお「1本の電線に両足をつけるから感電しない」ということは、裏を返せば「2本の電線にまたがるように接触すれば、高電圧がかかって感電してしまう」ことになります。
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